1.リユース部品「保証基準」 「品質基準」共通化の狙い

 平成7年に『リサイクル部品協議会』が設立された背景には、当時の自動車解体業者が、「鉄スクラップ」の市況変動に振り回され、市況が悪くなると「中古部品」の販売に力を入れる、という不安定な経営形態への反省があり、同時に、「中古部品」の販売の安定化と、そのために商品の信頼性に対する取組みが必要、とした業界情勢があります。

 こうした考え方をもつ流通団体が次第に全国に増え、当初9つの「中古部品流通ネットワーク」によって協議会が結成されました。

 中古部品流通業界では、多くの整備工場様からのニーズにこたえるために「商品在庫の共有化」が進み、これに伴う「商品の保証」という制度も取り入れられました。しかし、それぞれの「中古部品流通ネットワーク」の生い立ちの違い等から「保証内容」「品質の見極め手法」の違いなどがあり、協議会としては、平成10年から共通化の検討も行ってまいりましたが、さまざまな事情によって、実現に至らなかった、という経緯がありました。

 平成22年1月、「自動車リサイクル法」施行5年を経ての見直しの議論の中で、「使用済自動車の循環的な利用の高度化」という視点から「リユース部品の利用の促進」が課題となり、利用者である整備事業者や一般ユーザーの利便性を高める観点から「各ネットワーク間における品質・保証基準の共通化」こそが利用促進の大きなファクターとなる、という方向性が、産業構造審議会・中央環境審議会専門委員会合同会議の報告書によって指摘されました。

 『リサイクル部品協議会』としても、組織の法人化を目指すとともに、「リユース部品の品質・保証基準の共通化」を平成22年、23年度の重点事業として、真剣に取り組んでまいりました。

 本資料の「リユース部品の品質・保証基準の共通化」は、まだ、完成されたものではありません。ただし、リユース部品による自動車の修理にあたって、もっとも大切と思われる「補修用リユース部品全部品」の「保証基準」の統一化を図ったこと、主要な機能部品(エンジン・ミッションなど9品目)の「品質検討基準」(品質の見極め手法)の統一化を図ったものであります。今後は、主要部品以外の部品の「品質検討基準」の完成と、引き続き「自動車の電子化に伴うリユース部品のあり方」についても検討を重ねてまいりたいと考えております。

 今日、国を挙げて「地球環境保全」「循環型社会の構築」に取り組んでおります。自動車につきましても、その利用車齢が大幅に伸びてきている市場構造からも「リユース部品、リビルド部品による修理」は今後ますます需要が増大するものと考えられます。リユース部品、リビルド部品を含めたリサイクル部品の利用普及には「ユーザーに分かりやすい品質・保証基準の提示」が不可欠であります。時間はかかりましたが、業界もまたそのタイミングを迎えたものと考えております。

一般社団法人 日本自動車リサイクル部品協議会

代表理事/会長 清水 信夫

対象項目(第一次)

新たな共通化の内容(1)

(1)「保証基準」の共通化

全ての「リユース部品」が対象

1.保証基準(一般消費者に示す内容)

(1)主要機能部品 (エンジン・ミッション)

保証期間「6ヶ月。ただし5,000kmを超えた場合を除く」

(2)準主要機能部品(7品目)
(コンプレッサー・セルモーター・オルタネーター・ターボチャージャー・パワステポンプ・噴射ポンプ・スロットルボディー)

保証期間「3ヶ月。ただし、3,000㎞を超えた場合を除く」

(3)上記9品目を除くエンジン関連部品、トランスミッション関連部品、足回り部品、電装部品

保証期間「1ヶ月。ただし、1,000km以内」

(4)外装部品、内装部品

保証期間「現品確認期間 = 1週間

2.保証基準と保証内容(自動車整備工場等に示す内容)

(1)主要機能部品 (エンジン・ミッション)

保証期間「6ヶ月。ただし5,000kmを超えた場合を除く」
保証内容「代品交換 or 返金(返品)の受付」「再組み換え工賃」
※ (日整連の定める工数×レバレート)

(2)準主要機能部品(7品目)
(コンプレッサー・セルモーター・オルタネーター・ターボチャージャー・パワステポンプ・噴射ポンプ・スロットルボディー)

保証期間「3ヶ月。ただし、3,000㎞を超えた場合を除く」
保証内容「代品交換 or 返金(返品)の受付」「再組み換え工賃」
※ (日整連の定める工数×レバレート)

(3)上記9品目を除くエンジン関連部品、トランスミッション関連部品、足回り部品、電装部品

保証期間「1ヶ月。ただし、1,000km以内」
保証内容「代品交換または返金(返品)の受付」

(4)外装部品、内装部品

保証期間「現品確認期間 = 1週間」
保証内容 代品交換または返金(返品)の受付

(2)「品質検討基準」の共通化

1.主要部品に関わる品質検討基準

2.準主要部品に関わる品質検討基準

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